こんにちは、haLunaです。
万年筆と切っても切れないアイテムといえば、なんといっても「紙」。
紙そのものの奥深さはまったく底が見えないほどで、ことに、ボールペンや鉛筆と比べて紙との相性が顕著な万年筆においては、紙選びも非常に重要なのです。
……といった、紙そのもののお話はまた別の機会に。
今回は、「縦書き」について、あれこれ書いてみたいと思います。
市場では横書き商品がメイン
だいたい、文具店のノートコーナーに行くとメインで取り揃えられているのは「横罫」「方眼」「無地」といったラインナップかと思います。
最近は「ドット方眼」という、方眼の利便性と無地の自由さを兼ね備えたフォーマットもメジャーになってきました。
用途からすると、縦書きというのはかなり限定的かもしれません。文字、それも日本語以外の選択肢はほぼ消えます。
そんなわけで、比較的縦書きノートを見つけやすいのは「日記」のコーナーだったりしますね。
今回選んだのは、このノート
太字万年筆も難なく受け止める幅広の縦罫、手触りのいい布の表紙に一目惚れ。(この表紙に使われているのが「正藍しじら織り」というのだそう)
180度パタンと開く製本もポイント。開いたときたけでなく、閉じてもモコモコせずにきちんと収まるのがこの製本の好きなところでもあります。
ほかには、博文館の当用日記シリーズの縦書きノートもお気に入り。
こちらも、紙質が万年筆インクと相性がよく、クリーム色によく映えて、万年筆ユーザーにはおすすめの一品です。
日本語は縦書きに適した言語
そもそも、万年筆にどっぷりハマるまでは、私は縦書きというものが得意ではありませんでした。
ところが、いざ万年筆の世界に足を踏み入れてみると、そこでは当然、多くの人の手書き文字を見る機会に恵まれます。その中には、ため息がでるほど美しい文字を書く人たちがいるわけです。
そんな文字に憧れて、見よう見まねで「綺麗な文字」を書こうとしてみると、日本語の文字の流れは縦につながるようにできているのだということにあらためて気づかされます。
文字は、楷書がある種「完成形」なわけですが、行書を学ぶとその文字の成り立ちや構造が見えることがあり、書き順にもちゃんと意味があるのだとわかります。
行書は、縦書きで、正しい書き順でなければ書けませんし、ひらがなも元となった漢字がわかるとバランスが取りやすくなります。
小学校で「国語」のノートだけが縦書きだったのには、ちゃんと理由があったのですね。
日本語には日本の万年筆が向いている?
基本的には縦向きの動きに強い万年筆ですが、舶来万年筆と比べると、日本の万年筆は横方向やまるい動きにもぴたりと合わせてきてくれる柔軟さが具わっているように思います。
実際に日本の万年筆は、日本語筆記に向いているなあと、理屈抜きに感じます。
少ししなるペン先なんかは最高ですね。とめ、はね、はらいがきれいに出ます。
私の憧れる「美文字」
「かきかた」のお手本のように美しい楷書、流麗な行書・草書も好きなのですが、実はいちばん憧れるのは「作家さんが原稿用紙にさらさらと書く、勢いも癖もあるけどなんだかまとまっていて読みやすい、あの独特の文字」です。
ときどき、「趣味の文具箱」などで作家さんのインタビューが掲載されていたりすると、そんな文字にお目にかかることができます。
あの感じが出るのは逆に舶来万年筆だったりもするのが奥深いところ。
あのこなれ感、かたっくるしくなくて、でも伝えるべきことの精確さに比例するように芯の強さも併せ持つ筆致は、まさに「味」。練習だけでは身につかないであろうものだからこそ、永遠の憧れです。
まとめ
文字は、声や表情と同じくらい、その人の人となりが表れるもの。素敵な歳を重ねたひとが美しいように、素敵な歳を重ねた文字もまた魅力的なものだと思います。
いったいいくつになったら、そんな素敵な文字が書けるだろう? と思いながら、今日もせっせと万年筆遊びにいそしむのです。
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